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講話

2学期終業式

2学期も今日で最後ということで、少し振り返ってみると、やはり最初に思い出すのは、体育祭や文化祭です。どちらも、高2を中心として、立派なものを作り上げてくれました。見ている人をも楽しませてくれる、学院らしい催しだったと思います。
 物故者追悼式や創立記念式もありました。追悼式は、それにふさわしい雰囲気で良かったと思いますが、創立記念式では、浦神父様の東ティモールの話の間、下を向いて居眠りをしている生徒も目に付きました。情けないことです。
 そして、9月と11月には幟町公園で炊き出し活動があり、また先日は街頭募金もありました。私は、11月の炊き出しに参加しましたが、50人近い生徒が手伝ってくれました。街頭募金は、今年は有志をつのっての活動でしたが、150人の生徒が参加してくれました。このような奉仕活動に多くの生徒が積極的に関わってくれたことを、大変嬉しく思います。

 
 さて、振り返りはこれくらいにして、もうすぐクリスマスなので、クリスマスについて少し話をします。クリスマスは、もちろんみんなもよく知っているように、イエス・キリストの誕生を祝うキリスト教の大きな祝日です。本来は、その喜びを表すために町も奇麗に飾るのでしょうが、今ではあまりそんな事とは関係なく、この時期、町は華やかに賑わっています。こういう町の雰囲気自体は、私は嫌いではありませんが、私にとってクリスマスと言えば、馬小屋の中で、静かに飼い葉桶に眠る幼子と、それを優しく見守るヨセフとマリアの姿です。中央玄関に、ロサド先生が昨年作られたクリスマスの馬小屋が飾ってありますので、是非よく見てください。
 
 この飼い葉桶に眠るイエス・キリストの誕生の話は、ルカ福音書にあります。ローマ皇帝の命令で、すべての人が住民登録をすることになり、ヨセフと既に身ごもっていたマリアも、登録をするためにヨセフの本籍地のベツレヘムという町に行きます。ベツレヘムの町は、たぶん登録に来た人たちでごった返していたのでしょう。ルカ福音書には、こう書かれています。

  ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、
  布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所はなかったからである。

 そして、羊飼いたちが、幼子の誕生の知らせを聞いて、すぐに駆けつけます。彼らは、町から離れた所で、野宿をしながら、夜通し羊の番をしていました。彼らもまた泊る場所がなかったかもしれませんが、飼い葉桶の幼子の姿を見て、大きな喜びや希望を感じました。

 この「泊まる場所がない」という言葉を文字通り解釈すれば、今、私たちは泊る場所があります。でも、心の泊る場所と考えると、自分のことを理解してほしい、自分を受け入れてもらいたい、そういう意味で、心の泊まる場所を見つけたいと思うことは誰にでもある、とも言えます。羊飼いたちは、知らせを聞いてすぐに駆けつけ、幼子を受け入れることで、自分の心の泊まる場所を見つけました。このことを、私は、クリスマスのメッセージの1つとして大切にしたいと思っています。

 ところで、クリスマスにカトリック教会で歌う有名な聖歌の1つに「しずけき」という歌があります。日本では一般には「きよしこの夜」という曲名の方が知られているかもしれません。この原曲はドイツ語の歌で、19世紀の初めに、オーストリアのある教会のクリスマスのミサで歌うために、その教会の司祭とオルガン奏者が、ほとんど一晩で作ったそうです。その時の逸話が色々と残されていますが、それはさておき、全く無名の2人が一晩で作った素朴で美しい歌が、今では300を超える言語で訳され、おそらく最も多くの言語で訳されている歌だそうですが、とにかく、毎年クリスマスに世界中の教会で歌われています。
 
 学院でも24日の夕方5時40分から、前庭でキャンドルサービスがあり、聖書を朗読して「しずけき」を歌います。その後、聖堂でミサがあります。今の聖堂で行われる最後のクリスマスのミサになります。キャンドルサービスやクリスマスのミサは、生徒はもちろん、ご家族でも、近所の人でも、どなたに来ていただいてもかまいませんので、よかったら来てください。

 そして、クリスマスが終わったら、すぐにお正月です。
 新しい年がみんなにとってもいい年になるよう、祈っています。