2014年度 入学式式辞
59期新入生の皆さん、広島学院中学校入学おめでとうございます。
先ほど担任の先生から一人一人名前を呼ばれ、広島学院のメンバーに仲間入りした君たちを、心から歓迎いたします。
君たちは、今日の日を迎えるために、精一杯努力をしてきたことと思います。今、その努力が報われた喜びを感じていることでしょう。中学生になることを楽しみにしていた人もいるでしょうし、多少の不安を感じている人もいるかもしれません。一人ひとり、色々な思いがあるでしょうが、それでもみんな、今日から広島学院中学校の生徒として一生懸命にやっていこうという気持ちになってくれていると思います。そういう今の気持ちを、忘れないでください。と同時に、君たちの努力を支えてくださったご家族の方々、小学校や塾の先生方、友達への感謝の気持ちも、忘れないでください。
君たちには、今日からこの学校で、6年間、たくさんのことを学んでもらいます。授業はもちろん、クラブ活動や他の活動、学校行事、そして友だちや先生と過ごすひと時も、大切な学びの場です。君たち自身が学びたいと思えば、いくらでも学ぶことはあります。
学ぶことは楽しいと感じてもらえるように、私たちはいつも努力をしますので、君たちには、もっと色々なことを知りたい、もっと色々なことをやってみたい、そういう気持ちで学校生活を楽しんでもらいたいと思います。もちろん、誰でもうまくいかなくて悩むことがあります。一生懸命にやらなければという自分と、怠けたいという自分が戦って、互いに勝ったり負けたりすることもあるでしょう。楽しいことだけでなく、悩んであれこれ考えたり、自分と戦って勝ったり負けたりすることで、君たちはもっと強い人間に成長することができます。このように、学校での生活は全てが学びの場であるということを、よく知っておいてください。
さて、入学許可宣言に先立って聖書が朗読されました。イエス・キリストの活動や教えについて書かれた福音書という書物の一節です。朗読された福音は、難しくて意味がよくわからないところもあったかと思いますが、君たちにとって大切な箇所を、分かりやすい言葉に代えて少し振り返ってみます。
イエスには、活動を共にした12人の弟子がいました。そのうちの2人、ヤコブとヨハネがイエスに、「あなたが天の国の王様になったときに、私たちをその次に高い地位につけてください」とお願いをしました。名誉や権力がほしかったのでしょう。
ほかの10人の弟子は、ヤコブとヨハネが自分たちを差し置いて高い地位につけてほしいとイエスに頼んだことに腹を立てます。彼らも、2人と同じように、名誉や権力がほしかったのかもしれません。そんな弟子たちの様子を見て、イエスはみんなを集めて言われました。「偉くなりたい者は、みんなに仕える者になりなさい。私も、仕えられるためではなく、仕えるために来たのだ」と。
私たちの社会には、秩序を保つために、立場や役割の区別、上下関係といったものがあります。そんな社会で、自分は偉くなりたい、高い地位につきたいと考えるのは、決して悪いことではありません。ですが、高い地位について人を支配したり権力をふるったりするのが偉い人なのではなく、人に仕える心を持ってみんなのために働く人が偉い人だと、この福音は教えています。
仕えるという言葉は、仕事の「仕」という字を書いて、一般には、目上の人のために一生懸命に働くことを言いますが、ここでは、立場に関係なく、相手が何を必要としているかをよく考えてその人のために働くということでしょう。この「仕える人になりなさい」という言葉を、広島学院は創立以来ずっと大切にしています。
君たちはみんな、この学校の入学試験で充分な成績を修めるだけの、高い学力を持っています。その学力を、これからさらに伸ばしていかなければなりませんが、広島学院が君たちに望むことは、学力を伸ばすことだけではありません。たくさんの知識を身につけ、じっくりと考える力を養い、そして、人を思い遣る心、真実を見ることのできる心を育ててもらいたい。将来、仕えられる者ではなく、仕える者として、社会のために、みんなのために、そして特に立場の弱い人のために立派な働きができるように、この学校で、たくさんのことを学んでもらいたいと思っています。
最後になりましたが、新入生の保護者の皆様、本日はご子息のご入学、おめでとうございます。今も申しましたように、ご子息には、これからの6年間、持てる能力をより高め、豊かな心を育み、調和のとれた人格を形成して、将来それぞれが進む道で立派な働きをするための土台を作ってもらいたいと思っています。そのために、教職員一同は日々努力をしてまいりますので、保護者の皆様におかれましても、どうぞ私どもの教育にご理解を賜り、ご協力くださいますようよろしくお願い申し上げます。
新入生とご家族の皆様の上に神様の豊かな祝福がありますよう祈りながら、式辞とさせていただきます。