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講話

6月9日 朝礼

おはようございます。
    (将棋部T君の表彰)
 先週の登山部のインターハイ出場に続いて、今回は個人種目ではあるけど、将棋部も全国大会出場となり、学校にとっても大きな喜びです。登山部も将棋部もしっかりと準備をして、全国大会を思いっきり戦ってきてもらいたいと思います。

 
 さて、2週間前から廊下には magis という言葉が掲示されています。書道の杉岡先生が筆で書いてくださったものです。みんなもよく知っているかと思いますが、マジスは英語の more に当たるラテン語の言葉で、よりよいものを目指すという意味です。最善を目指してどこまでもダイナミックに前進していく心の態度のことを言います。

 みんなは、毎日の生活の中で、よりよく成長したいという気持ちがありますか。現状に満足せず、もっと高めたい、刷新したいという心意気がありますか。知性とか、感受性とか、精神力、人格に至るまで、それらは天性のもので、自分の力ではどうにもならないと思っている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。意欲を持って磨けば、体だけでなく頭や心も、よりよいものへと成長するはずです。

 ただし、この成長の過程には必ず困難があり、失敗や挫折があります。楽しくないとか、辛い、気が向かないといった場面もたくさんあります。そういうものから逃げていては、せいぜい今のレベルを保つだけで、成長はないでしょう。それらを乗り越えて、始めて1つ成長します。だから、順調にいっている時よりも、困難にぶつかっている時の方が、本当は成長のチャンスですが、実際には困難から逃げたくなるというのが、私たちの弱いところかもしれません。そういうときに勇気をくれるのが、マジスという言葉です。

 このマジスという言葉が目指す「よりよいもの」とは、人と比べたり何かの基準と比べたりして考えるものではありません。たとえば、テストで友達に勝ちたいとか平均点を超えたいと思って頑張ることは、もちろん悪いことではありませんが、それはマジスが言う「よりよいものを目指す」のとは違います。マジスの精神とは、何かの基準を超えることができたからそれで満足するというものではなく、自分の持てる能力、自分に与えられた能力を可能な限り成長させようという心意気のことです。だから、これで十分というところはありません。最初にも言ったように、成長を目指して、どこまでもダイナミックに前進する心の態度のことです。そして、その成長は自分自身の利益のためだけではなく、他者のため、men for others の実践のためです。イエズス会の教育を実現するために、マジスという言葉を、どこのイエズス会学校でも大切にしています。

 高1以下の生徒が着ている校内着の胸には magis の赤い刺繍がありますが、これは、この校内着を最初に作ったときに、当時の生徒指導部長の茭口先生が熱い思いを込めて入れられたのです。高2、高3は、別に胸にマジスの刺繍がなくても大丈夫でしょうが、下級生は、毎日胸にマジスの文字を付けて生活しているということを意識してほしい。もうしばらく、この言葉を廊下に掲示しておきたいと思います。