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講話

1学期始業式

おはようございます。
 まず、58期生のみなさん、高校入学おめでとう。3週間前にも話したように、君たちは義務教育課程が修了し、今日からは、自分の意思で学生生活を続けることになります。君たちにとっては、高校生になったと言っても、周りの仲間や先生方の顔ぶれは変わらず、学校の雰囲気も変わらず、広島学院での生活の後半が始まるという程度にしか感じていないかもしれません。
 だけど、高校生というと、自分自身の将来について、現実的なこととして真剣に考え始めなければならない時期です。精神的にも、もっと逞しい青年へと成長していかなければなりません。高校生になったということの重み、そして広島学院高校の生徒としての責任を、しっかりと自覚してもらいたいと思います。

 さて、2016年度が始まります。
 昨日は、新中1、61期生の入学式も無事に終わり、新たに178名が加わりました。その入学式では、マルコによる福音にある「種を蒔く人の譬え」が朗読されました。みんなには、与えられた能力をより一層伸ばすために、そして人格的にもより成長するために、この学校で毎日たくさんの種が蒔かれています。よい土地に蒔かれた種は、しっかりと芽生え、大きく成長して、たくさんの実を結びます。同じように、みんなに蒔かれた種も豊かな実を結ぶよう、心を良い土地の状態にしておかなければならないという譬え話です。

 この種蒔きは、授業だけでなく毎日の学校生活のあらゆる場面で行われていますが、その中の1つとして、各学年にIPプログラムという授業があります。この名称を、今年度からILプログラムに変更します。そのことについて、少し話します。中1の生徒は何のことかわからないでしょうが、授業で説明するので静かに聞いておいてください。

 ILというのは、Ignatian Leadership の頭文字を取ったもので、「聖イグナチオに学ぶリーダー像」という意味です。
 イグナチオは、16世紀前半に活躍したカトリックの聖人で、イエズス会の創立にあたって中心的な役割を果たし、創立後は、初代総長として、世界中に派遣された多くの仲間のリーダーとしての責任を果たしました。この聖イグナチオの生涯からリーダーシップを学ぶというのが、ILプログラムの目標です。

 みんなも知っていると思いますが、本校の初代校長のシュワイツェル神父は、当時の生徒に対して「良きリーダーたれ」と訓辞をしました。1期生の方から最近お聞きしたことですが、当時この訓辞を聞いて、この学校は上の立場に立って社会を動かすエリートを養成するための学校なのかと反発を感じていた生徒もいたようです。
 確かにリーダーというと、組織のトップの立場に立ってみんなを引っ張っていくリーダー像を思い浮かべるかもしれません。もちろん、トップの立場でいい働きをするというのは大切なことだし、みんなの中にも、将来そういう立場で社会に貢献する人もたくさんいると思います。だけど、地位や立場とは関係なく、その人の生き方によって周りの人が導かれるという意味でのリーダーもいます。
 シュワイツェル神父の言われた「良きリーダー」とは、そのどちらのリーダーなのかというのではなく、どんな立場に立ったとしても、人のために自分の持てる能力をしっかりと発揮し、人に仕えられるのではなく人に仕えて人々を導くリーダーです。
 後に、アルペ神父が言われた”Be men for others.”にも、この「社会や人に仕えるリーダーになってもらいたい」という同じ信念が根底にあります。
 IPがILに変わったからといって、授業の中身が大きく変わるわけではありません。「他者のために他者とともに働く仕えるリーダーになる」というイエズス会学校の共通の目標を、より強く意識するための名称変更です。今の社会に必要とされる本当のリーダー像を、一緒に学ぶことができればと思います。

 最後に話は変わりますが、4月1日から、この学校を運営する法人が「学校法人広島学院」から「学校法人上智学院」に変わりました。この後HRで、そのことに関するお知らせをみんなに配るので、必ず保護者の方に渡してください.
 そこにも書いてありますが、法人名は変わっても学校名は変わらないし、学校の雰囲気ややり方も今までと変わることはありません。今後姉妹校の中高や上智大学との繋がりは強くなるので、そこから刺激をもらいながら、この学校もさらに発展していけばいいと思っています。

 3学期の始業式でも言いましたが、広島学院は今年度、干支でいうと60年周期の二回り目に入り、また新しい時代が始まります。この年に法人が変わるというのも、何か意味のあることのようにも感じますが、とにかくこの61年目がいい年になるように、みんなで学校を盛り上げていきましょう。