3月6日 朝礼
おはようございます。
今学期も残りわずかとなりました。学年末試験の準備をしっかりとして、今の学年を立派に仕上げてもらいたいと思います。
今朝はまず、将棋部の全国大会の表彰をします。
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さて、昨年5月の朝礼で、東大合格を目指して開発が進められている人工知能(AI)を紹介しました。「東ロボくん」というのだそうです。2021年度の合格を目指していたけど、昨年6月に受けたマーク模試の成績が偏差値が 57.1で、その前の年と比べて全く伸びていなかったということもあって、結局東大挑戦は断念したと、昨年の秋に発表されました。ちょっと古い話題ですが、これに関連して少し話をします。
成績が伸び悩んだ最大の理由は、問題文の意味をきちんと読み取れるだけの読解力がつかなかったということだそうです。確かにAIは、文章に出てくる単語を統計的に処理することはできても、文脈を捉えるとか、複数の文の関係を考えるといったことは、苦手なのでしょう。例えば「10人に3個ずつりんごを配るのにりんごはいくつ必要か」という問題だと、AIは「10・3・ずつ」というキーワードを拾ってきて、「ずつ」ならば掛け算と覚えていて、10×3の計算をするだけだそうです。
そして、実はそのAIよりもさらに文章読解力が劣っている中学生や高校生がたくさんいるという調査結果が出ているそうです。実際にこのセンター模試で、受験生の8割が東ロボくんより成績が低かったのは、もちろん計算力や記憶力に圧倒的な差はあるが、それだけが原因ではない。問題が解けるかどうかという以前に、問題文の読めていない受験生が多かったのではないか。その点が気になって、東ロボくんを開発した新井紀子さんは、全国の中高生を対象に、教科書に載っている日本語の文章を正しく読み取れるかどうかを確かめるテストを実施しました。
その結果、特に多くの中学生は、どの言葉がどの言葉にかかっているのかを理解できていない。そのため5割の中学生が、内容をきちんと読み取れていなかった。そして2割は、主語や目的語が何かという基本的な読解すらできておらず、高校生も合わせて、読解力の不足は予想をはるかに超えるものだったそうです。東ロボくんの学力を上げることよりも中高生の読解力を上げることが、喫緊の課題だということで、今後は読解力を高める教材の開発を目指すとのことです。
読解力とは、知識や経験に基づき論理的思考力や判断力を使って文章を読み解く力のことでしょうが、何よりもまず文章をきちんと読まないといけない。みんなは、新井さんの読解力のテストを受けたら、もっといい結果を出すのでしょうが、それでも文章と向き合ったときに、丁寧に読もうとしているか、根気強く読んでいるか、振り返ってみてほしい。ちょっと長い文章や難しい文章だと、丁寧に読むだけの根気が続かない人も結構いるのではないか。そういう人は、キーワードだけを拾おうとしているかもしれません。
これからの時代は、ますます自分の知らない分野のことの書いてある文章を読み解く力が必要になるといわれています。まずは、教科書をじっくりと読む、問題文を正確に読むといった地道な訓練の積み重ねが大切です。学年末試験に向けて、ぜひ、丁寧に根気強く読むことを実践してください。