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講話

2018年度 入学式式辞

新入生の皆さん、広島学院中学校入学おめでとう。
 君たちは先ほど、担任の先生から一人ひとり名前を呼ばれ、しっかりと返事をして、広島学院のメンバーに仲間入りしました。63期生として今日からこの学校で学ぶことになった君たちを、私たち教職員と在校生は心から歓迎いたします。
 君たちは、今日の日を迎えるために、精一杯努力をしてきたことと思います。今、その努力が報われた喜びを感じていることでしょう。新しく始まる中学生としての生活を楽しみにしている人も、たくさんいるでしょう。初めての環境に多少の不安を感じている人も、少なくないかもしれませんが、それでもみんな、今日から広島学院の生徒として、しっかりと勉強をしよう、クラブ活動も張り切ってやろう、友達とも楽しい時間を過ごそうという気持ちになってくれていると思います。そういう今の気持ちを忘れないでください。と同時に、これまで君たちの努力を支えてくださったご家族や先生方、友達への感謝の気持ちも忘れないでください。

 さて、入学許可宣言に先立って、聖書が朗読されました。イエス・キリストの活動や教えについて書かれた福音書という書物の一節です。この聖書の言葉について、少し考えてみましょう。
 イエスは、自分の言葉を聞きたいと集まってきた大勢の人々を見て、小高い山に登り、腰をおろして語り始めました。「山上の説教」と言われている場面です。その説教の中で、イエスは「求めなさい。そうすれば与えられる。探しなさい。そうすれば見つかる。門をたたきなさい。そうすれば開かれる」と言われました。
 君たちは、中学高校の6年間の学び舎として広島学院という学校を見つけ、そこで学ぶことを求めて門をたたきました。そして、その門が開かれ、今日の日を迎えています。だけどもちろん、それで終わりではありません。これからも毎日の学校での生活の中で「求めなさい、探しなさい、門をたたきなさい」と、この聖書の言葉は君たちに呼びかけています。では、何を求め、どこを探し、いつ門をたたけばいいのでしょうか。

 学校は学びの場ですが、「学ぶ」とは、ただ単にテストでいい点を取るための学力を付けることではありません。知識や技術を習得するだけでなく、じっくりと考える力を養い、少々のことではくじけない強い心、人のことを思い遣る優しい心、人の幸せを喜べる広い心を育ててほしい。そして自分の判断で積極的に行動する力や、他の人と協力して問題を解決する力を身に付けてほしい。このように、これからの社会でより良く生きるために必要なあらゆる力を身に付けようとすることが、学ぶということです。君たちには、この学校でたくさんのことを幅広く学ぼうという意欲を持ってもらいたい。多くの学びを、求めなさい。
 その学ぶチャンスは、学校の中にいくらでもあります。毎日の授業はもちろん、クラブ活動や色々な活動、学校行事、さらに友だちや先生と過ごすひと時も、学びのチャンスです。そのチャンスを、学校中で探しなさい。
 そして、チャンスを見つけたら挑戦してほしい。「門をたたきなさい」とは「挑戦しなさい」ということだと私は思います。チャンスを見つけても、実際に挑戦するかどうかは、君たち自身が決めることです。成功するのは難しそうだし、失敗したら恥ずかしい、そんな思いで挑戦をあきらめることがあるかもしれませんが、成功の反対は失敗ではありません。成功の反対は、挑戦しないことです。結果がどうなるかは別の問題として、学ぶチャンスを見つけたら、その門をたたきなさい。

 このように、真剣に求め、一生懸命に探し、しっかりと門をたたけば、必ずその人にとって良いものを神様は下さると、聖書は教えています。その良いものが何なのかは、すぐには分からないかもしれませんが、それは、自分自身の頭や心を一歩ずつ確実に成長させてくれるものだと私は思います。
 私たちは、そうやって身に付けた能力、いただいた良いものを、自分のためだけでなく、多くの人の幸せのために役立てなければなりません。広島学院は Be men for others, with others. を目標にしています。「他者のために、他者とともに生きる人でありなさい」という意味です。この目標が叶うよう、高い志を持って、学びの機会を日々積極的に求め、探し、その門をたたいてください。
 そして、仲間と一緒になって取り組めば、もっと大切なことをたくさん学ぶことができます。これから6年間、君たち63期生が、今日の聖書の言葉を大切にしながら、みんなで力を合わせて充実した学校生活を送ってくれることを心から願っています。

 最後になりましたが、新入生の保護者の皆様、ご子息のご入学おめでとうございます。ご子息には、これからの6年間、持てる能力をより高め、豊かな心を育み、調和のとれた人格を形成して、
将来それぞれが進む道で、多くの人の幸せのために活躍する土台を作ってもらいたいと思っています。
 そのために、生徒一人ひとりがより良い学びを積極的に求め、探し、そして門をたたくことができるよう、教職員一同、日々努力をしてまいりますので、保護者の皆様におかれましても、どうぞ私どもの教育にご理解を賜り、ご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 新入生とご家族の皆様の上に、神様の豊かな祝福がありますよう祈りつつ、式辞とさせていただきます。