2学期終業式
今日で2学期が終わります。
振り返れば体育祭や文化祭といった学校行事が思い出されますが、どちらも広島学院らしいいいものになりました。特に高2の生徒は、中心学年としてしっかりとその役割を果たしてくれました。
また先日の土曜、日曜と、中3の生徒は寒い中、街頭募金に立ってくれました。今年も多くの方々が募金に応じてくださり、東ティモールやフィリピン、ネパール等にたくさんの寄附をお送りすることができます。中3の生徒はご苦労様でした。
さて、3週間ほど前のことになりますが、ローマ教皇フランシスコが来日され、広島にも来られたという、カトリック校である本校にとっても大変大きな出来事がありました。フランシスコ教皇は、Protect all life 「すべてのいのちを守るために」をテーマに「あなたに話がある」として、長崎や広島、東京で様々なイベントを精力的にこなし、各地でメッセージを発信されました。私自身も、広島での「平和のための集い」や東京ドームでのミサ、上智大学での「特別講話」に出席する機会をいただきました。そこで教皇が発信された「すべてのいのちを守るために」のメッセージのほんの一部を、私なりにまとめて少し紹介したいと思います。
カトリックの教えでは、全ての命は神から与えられた賜物であり、どの命もそれぞれに大きな可能性を持っていて、掛け替えのないものです。だから全ての命は、等しく守られなければならない。ここでいう命を守るとは、ただ命がなくならないように守るというだけではなく、尊厳のある生き方ができるように守るということです。そのような意味での「すべてのいのちを守るために」をテーマにすることについて教皇は、次のように仰っています。
「日本も含め物質的に豊かであるといわれるような社会では、利益と効率を追い求めるための過剰な競争の中で、生産性と消費を高めることばかりに自分の関心やエネルギーを注いでいるという現状がある。そういう社会に生きる人々の心は、どこまでいっても満たされない不安と、負けられないという競争心に支配されている。その結果今の世界には、経済格差、環境破壊、地域紛争といった命を守るために解決しなければならない難しい課題が山積している」と。
そして上智大学での特別講話で、これからの時代を担う若い人たちに対して次のように語っておられます。
「何が最善かを意識的に理解した上で物事を選択するということを学んでほしい。そして、弱者を擁護するような人になってください。言葉や行動に偽りや欺瞞のあることが少なくない今の時代において特に必要とされる誠実な人になってください」と。これはもちろん、みんなに対しても語られている言葉です。
フランシスコ教皇のメッセージを少し紹介しましたが、話は変わって、もうすぐクリスマスです。ルカの福音書のクリスマスの場面では、最初にイエスの誕生のお祝いに駆けつけるのは、羊飼いたちです。彼らは、野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていました。当時の羊飼いは大変貧しく、いつ野獣や盗賊に襲われるかもしれないという不安と危険にさらされながら、過酷な労働を強いられていました。社会の中で他の人々からから見下され、蔑まれ、偏見や差別の対象にされていました。このように命の守られていない彼らが、真っ先にイエスの誕生を祝う機会が与えられました。
イエスは後に人々に福音を述べ伝える中で、特に貧しい人、孤独な人、虐げられた人たちなど、命の守られていない人たちに救いがもたらされるよう、彼らのそばに寄り添いました。彼らを愛し、受け入れ、分かち合いました。これはフランシスコ教皇のメッセージと重なります。
教皇は、私たちの生活において、利益や効率を一生懸命に追求することが全て悪いと仰っているわけではないと思います。ただ確かに、そのことばかりに心が支配され過ぎて、他者の命への関心、特に自分から遠い世界にある命への関心が、かなり欠如しているという現実があるのではないか。その点は、私たちもよく振り返ってみないといけない。
フランシスコ教皇は、全ての命を守るということを理想として語ったのではなく、実現できることとして希望をもって語られました。クリスマスを迎えるに当たり、私たちも、同じ希望を持ちたい。そして「すべてのいのちを守るために」身の周りのできることから、何か行動に移すことがきればと思います。
24日の午後3時から、アルペ講堂でカト研のクリスマス会があります。そして5時30分から、キャンドルサービスとクリスマスのミサがあります。ぜひ皆さんで来てください。
また前後しますが、22日の午後2時からエリザベト音大で、本校とノートルダム清心、エリザベト音大のカトリック3校による「クリスマスの集い」があります。こちらの方も友達や家族と来てください。
そしてクリスマスが終わったら、すぐにお正月です。
新しい年がみんなにとっていい年になるよう、祈っています。